伊勢志摩3泊4日の旅の記録。
伊勢に行くと必ず立ち寄りたくなるフレンチの名店が、伊勢神宮外宮前にある。
記事には書けていないが、なるべく立ち寄って舌鼓を打っている。
地産地消、三重の美味しい山の幸と海の幸をふんだんに使ったお料理は、ボンヴィヴアンにいるだけで三重県のいろんな街を訪れている気分になる。
まさにお皿の上のプチトリップだ。
ランチもディナーも甲乙つけ難いほどおすすめで、今回はディナーで予約したのでその様子を記録しておく。
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名店「ボンヴィヴアン」のレトロな建物

お料理の前に、建物について熱く語っておきたい。
ボンヴィヴアンの建物は「逓信館」と言って、大正12年に建てられた築100年以上も経た建物。
正式名称を「旧山田郵便局電話分室」と言って、登録有形文化財に指定されている。
今もなお、フレンチレストラン「ボンヴィヴアン」、チョコレートで有名な「ダンディライオンチョコレート」などの店舗として使われている。




「ダンディライオンチョコレート」に入ってみたら、販売店舗は蔵前の店舗よりかなり狭いが、カフェスペースは外見以上に広かった。




写真は撮っていないが、トイレに入るとゆったりとした広さに驚く。
逓信館というのは電話局の意味で、男性・女性のそれぞれのエリアはかつて執務室として使われていたのかもしれない。


部屋の中には、アンティークが趣味というマダムが集めた小物や雑貨、時計や室内装飾が飾られている。

前回来た時と部屋のレイアウトがすっかり変わっていて、テーブルも違ったものになっていた。
テーブルについては、熊野の巨木で作られた一枚板を使ったテーブルに変えたのだそう。
それはそれで素晴らしかったが、私は以前の使い込まれたテーブルの方が好きだった。

室内のレイアウトは時代の変遷によるものなのだそう。
以前のレイアウトは過去記事にかろうじて少し写真が残っていた。
(もっと行っているのに記事を書いていない)
マダムに聞くところによると、まずコロナ禍にテーブルとテーブルの間を開けることと、衝立で仕切ることの対応で変えざるを得なかったらしい。
次に、2024年に入ったばかりのタイミングで、それまで働いていた多くの従業員を、それぞれのやりたかった新しい道へ送り出し、シェフとマダムと二人で切り盛りする体制に変更したのだそうだ。
お二人とも御年70歳になられるので、今までとは違って細く長く、自分たちの手の届くお店にシフトチェンジしたことによって、レイアウトを変更してテーブル数を減らしたのだそうだ。
本当に河瀬シェフのお料理は美味しいので、お二人のやりやすい形でぜひ続けてほしい。
「ボンヴィヴアン」のディナー

ボンヴィヴアンのディナーコースをいただきます。
今回お願いしたのは「松坂牛いちぼ肉コース」18000円











伊勢海老に隠れて見えないが、添えてある蕨が最高。
通常、蕨は重曹を入れたお湯に一晩漬けてアク抜きをするが、重曹が多かったり、漬け時間が長いと、重曹が蕨の繊維を分解してしまってぐずぐずになる。
ぐずぐずにならずとも、まぁまぁ柔らかい蕨なのが通常。
しかし、重曹を使わないで椿の葉でアク抜きをしているので、アクは抜けているのにシャキッとした歯触りがとても良くて、人生で一番美味しい蕨なのじゃないか?と思うほど美味しい。
後から、河瀬シェフに椿の葉でアク抜きする方法を教えてもらった。



味のコントラストだけでなく、歯触りや舌触りのコントラストも絶妙。

焼き菓子と同時に、コーヒー・紅茶などの飲み物が出る。
感想

大満足。
皿数は多いが、一つ一つのポーションが小さめなので、飽満感なしでいい具合のお腹の配分。
ポーションが小さいので、いろんな味を楽しめるのも嬉しい。
最後の焼き菓子では、私はオレンジピールとか、干し柿とか、フレッシュじゃないフルーツがあまり好きでは無いのに、見事な味付けと組み合わせで、むしろ好物になってしまうぐらいの美味しさ。
味は、フレンチだけどしつこく無く、日本人の舌にフィットする味付け。本当に美味しい。
河瀬シェフとマダムは、お店の規模を小さくされたが、本当に長く続けてもらいたい。
そして、伊勢に来るたびに私たちお客を「あっ!」と言わせて欲しい。
絶対に無くなってほしくないレストランだ。
