「特攻の島」佐藤秀峰 著:人間魚雷「回天」で散って行った若者たち。生きること・死ぬことを戦争と通して問う漫画

年に一度は、なぜか第二次世界大戦にまつわる漫画を読んでしまいます。
2017年は「「ペリリュー 楽園のゲルニカ」で、ペリリュー島での残酷な戦いを漫画にした本を読んでいました。

今年は「特攻の島」を手に取ることになりました。

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「特攻の島」とは

主人公は渡辺裕三(わたなべ ゆうぞう)二飛曹という架空の人物です。
九州の炭鉱町出身。家が貧しく、その貧しさから抜け出すために福岡海軍航空隊予科練に志願します。
絵を描くことが好きな大人しい少年。
やがて、どの様な任務かも知らされず、万一知っていたとしても拒むことが許されない状況の中、予科練の同期である関口政夫(せきぐちまさお)二飛曹と共に回天の部隊へと行くことになります。

この二人は架空の人物ですが、以下の登場人物は実在の人物となります。
板倉光馬(いたくら みつま)海軍少佐
仁科関夫(にしな せきお)海軍中尉
黒木博司(くろき ひろし)海軍大尉
勝山淳(かつやま じゅん)海軍中尉
豊増清八(とよます せいはち)海軍少佐

「神風特別攻撃隊」として航空機が、敵に向かった体当たり攻撃したことは、日本の歴史の中に悲劇として爪痕を残しています。
神風特攻隊の他にも、海では「回天」という人間魚雷という恐ろしい兵器が作られたのでした。
この漫画の中では、回天が開発されて最初の攻撃から、終戦までの間が綴られています。

なぜ?若者たちは散っていったのか

主人公の渡辺裕三 二飛曹は、予科練に入隊する際に母親から画帳(スケッチブック)を贈られます。
近所の家々を回り残飯を貰い、その残飯で家畜を育てて生計を立てていた貧しい一家にとっては、その画帳は高価だったことでしょう。
渡辺二飛曹は入隊してから、自画像をその画帳に描いていくことになります。
最初は訓練生の頃、あどけない少年の顔をした絵。
そこから、第一回の出撃があり、回天の故障により帰還することになります。この頃、目に迷いが生まれた顔つきへ変化することに。
最後、敵艦に突入して命を散らす直前には狂気とも言える顔つきに変わっていくのです。
しかし、その絵を楽しみにしていた母親をはじめ、家族全員は空襲によって皆すでにこの世の人では無いという。
この漫画の中に登場する二人の二飛曹は”死”への恐怖と共に”死ぬことへの意味”を見出そうとするのです。

平和な今の時代では、戦争に行き死にゆくことは悲劇以外の何物でも無いと思っています。
そんな死に意味などあるのでしょうか?

この漫画では、敵に体当たりして死ぬことへの意義を感じていた若者も少なくは無かったという事を思い知らされました。
まさに、狂気です。
「回天」という狂気が生んだ狂気と言えるでしょう。

まとめ

なぜ毎年、戦争に関わる漫画を読むのか、自分でも分かりません
分からないのですが、ついつい読んでしまいます。
まるで、怖いのに指の間の隙間から垣間見るように、手に取ってしまうのが不思議です。

ありきたりな言葉で締めくくってしまいますが、二度とこのような悲惨なことが繰り返しませんよう、心より祈っております。

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