わたしはキッチンスタジオの運営を生業としているが、つくづくこの仕事をやって良かったと思う1日となった。
仲間が山梨で桃・さくらんぼ農園を営んでいて、農繁期と農閑期の格差が激しくことが悩みとのことだった。
そこで、農園主が声をかけて「金丸文化農園大ブレスト大会」をウチのキッチンで開催することとなった。
金丸文化農園ファンが続々と集まり、ワイワイと賑やかな会となった。
だからと言って、ただ楽しいだけでは無く、みんな真剣にディスカッションとなった。
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悩みは何?
おそらく参加者のほとんどが、農繁期対策についてアイデアを出し合うのでは?と思っていたのだろうと推測する。
しかし、農園主と奥様の話しをみんなで掘り下げて言ってみたところ、予想外のお悩みの事がポロポロとで出来たのには驚いた。
・農繁期よりも農閑期についてアイデアが欲しい
・今までの様に、果物を作って出荷するだけで無い新しいビジネスのスタイルにシフトしたい
・4人のお子さんのことを含めた、農園のあり方
・不登校のお子さんと、その親御さんが集まれる場にしたい
・家事はやりたくない
などなど。
三人寄れば文殊の知恵
面白かったのは、これらは普通であればご本人たちにとってデメリットの塊に思われるのだが、三人寄れば文殊の知恵、12人も集まればその4乗の脳みそがフル回転し、全てがビジネスチャンスにと化けたのである。
キーワードだけ拾ってみると。。。
素晴らしい農園に、使っていない広い事務所。
リソースは羨ましいほど揃っているのである。
農閑期こそ、チャレンジしたかった事をやるチャンス。
リソースを常識を超えた使い方をすることによって、新しい人と人の交流が生まれ、そこにビジネスが生まれる。
デメリットどころかチャンスの宝の山。
また、苦手なことは得意な人にやって貰う。
「農作業」や「家事」だって、やりたい人はいっぱいいる。
労働に対してお金だけが対価では無い。
「労働」を”ワクワクするイベント”にチェンジしてみる。
などなど。
想像しただけで、トキメク話がポロポロと出てきたのである。
いゃぁ、こう言う話しが大好物なので、ワクワクしっぱなしだった。
桃・さくらんぼのシーズンが過ぎても販売できる新商品
桃・さくらんぼのシーズンは初夏あたりである。
それが過ぎると、果物は全て出荷が終わり売るものが無くなってしまう。
そこで、農園主が今回初の試みで作ったのが、桃とさくらんぼのシャーベットである。
これが激ウマ。
シャーベットなら冷凍保存ができ、シーズンが過ぎても売ることができる。
また、見た目がいまひとつという理由だけで出荷出来ないものを利用する事ができるのだ。
果物の加工品と言うとジャムが定番だが、そもそも私自身ジャムなどもう何年も食べていない。
甘いし、パンにつけるかヨーグルトに入れるかしか食べる方法が思いつかない。
応用範囲がすこぶる狭いのである。
(そもそも甘過ぎて私は好きでは無い)
しかし、シャーベットやアイスにしてあれば、夏場は喜ばれるし、甘さも”控えめ”に調整できるのである。
これはすごいぞ。美味いぞ。
まとめ
大ブレスト大会を呼びかけた農園主と奥様はすごいと思う。
普通なら家族で悶々と悩むだけだ。
しかし、自己開示して、堂々とアイデアを乞う姿はほんとにカッコイイ。
ヒアリングしながらアイデアが泉の様に湧き出す参加者はすごいと思う。
押し付けるでも無く、遠慮するでも無く、農園主と奥様から悩みを掬い上げ、アイデアに転化させていく凄い頭脳集団だったと思う。
どんなコンサルタントよりも、愉快で突拍子もなくでも現実的な話しがポンポンと生まれていた。
そんな場に居合わせて、またそんな場としてキッチンを使って貰った事が、嬉しくて誇らしい、「あぁ、キッチンスタジオをやって良かった」と心底から思った1日となった。