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今週読んだ本 2017/2/26~2017/3/4
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高田郁の「なにわ人情時代物」の沼にどっぷりとハマる
先週に引き続き、高田郁の時代物小説にどっぷりハマっています。
寸暇を惜しんで、電車の中でもお風呂でもトイレでもご飯を食べながらでも、お行儀悪いと言われても読みふけっているウィーク。
本を読む暇があったら、仕事でしょ。
時代小説を読むんだったら、ビジネス書でしょ。
その前に確定申告でしょ。
などと、どんなに思われても、どうにもこうにも止まらないのです。
それぐらいハマっているのです。
とにかくホロリと涙がこぼれたり、胸の奥がキューンとしたりしたい人にはまさにオススメです。
高田郁は、漫画原作作家としてスタートした作家ではありますが、「澪つくし料理帖シリーズ」など、人情時代物の作品をつぎつぎ送り出しています。
そのハートウォーミングな時代物小説の一つが「銀二貫」です。
銀二貫に登場する人物
小説は、主人公鶴之輔の父親が、雪の降り積もる日に仇討ちと名乗る男に切り殺されるところから始まります。
その場面にちょうど出くわしたのが、大阪は天満にある寒天問屋の主の和助。
和助は焼け落ちた大阪天満宮の再建のために掻き集めてきた銀二貫を差し出し「その仇討ち、銀二貫で買います。」と、父親を目の前で切り殺された鶴之輔を助け引き取ります。
引き取られれた鶴之輔は、松吉と名を改め、丁稚として働くこととなります。
登場する、主人公 鶴之輔
寒天問屋 井川屋の主 和助
井川屋の主人を支える番頭 善次郎
井川屋の丁稚 梅吉
真帆屋の娘 真帆
親が焼死した後の真帆を育てる お広
寒天職人 半兵衛
これら主に登場する人物は全員他人同士。また親も兄弟も無い者同士。
誰一人頼るものが無い中を懸命に生きています。
どんなに懸命に生きていても、火事が容赦無く商人たちを襲い、自然の猛威が作物を作る農民を苦しめます。
皆が爪に火を点す思いで貯めた銀二貫。金貨に換算すると約三十両もの大金。
そうそう、用意できる金額ではありません。
しかし、そんな大金「銀二貫」であるからこそ、ここぞという時に威力を発揮するのです。
和助が銀二貫で、鶴之輔を助けてから「銀二貫」が巡りめぐって、関わる登場人物の命を掬い窮地を助け、そしてやがて”銭”に替えられないものへと姿を変えていくのです。
商売の基本も教えてくれる小説「銀二貫」
登場するのは、いずれも町人であり商売人です。
「物が売れない時代」と言われる昨今ですが、不作や大火などの災害や不況で、昔であっても物はそうそう売れる時代では無いのです。
ポンポンと物が売れていたのは、逆に時代の中でもそう多くは無いのではないでしょうか。
小説の中の商売人たちはいかに、物を上手に売るのか、時代を読むのかをよく心得ています。
また、商売人にとって大切なものは何かも、商人たちの言動で多く読み取れてきます。
堅苦しいビジネス書を読むよりも、このような時代の商人を扱った小説の方が、より分かりやすく指南してくれるのではないでしょうか。
絵図や図表こそありませんが、本の中のストーリーを頭の中で思い描くことのできる想像力があれば、井川屋主人の”商いの心得”は十分に読み取れます。
また、真帆を守って大火で亡くなってしまった、真帆屋の料理人である嘉平からも、商売にとって何が大事かを教わることができます。
ビジネス書だけがビジネスを教えてくれるのでは無いのです。
(しかも、ホロリと感動できる)
この本は、高田郁ファンにも
時代小説ファンにも
ビジネスの勉強をしたい人にも
読んで得るものが多い本だともいえます。
まだまだ寒い日が続いていて、外に出るのが億劫な時は、暖かいこたつにでも入って「銀二貫」を読むことをお勧めします。
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