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「あきない世傳 金と銀」源流編 高田郁著:女性が自分の力で逞しく生きて行く、そんな姿に感動できる本

2016-08-10 12.44.06

夏休みと言えば思い出す、読書感想文の宿題。そのせいか、夏になると小説が無性に読みたくなります。
帰省客でにぎわう東京駅に、1週間後の旅のために新幹線のチケットを受取に行ったときに”旅のお供に”と久しぶりに小説を買いました。
買った直後”ちょっとだけ・・・”と思って、東京駅構内のフルーツパーラーで読み始めたら止まらなくなり、旅に出る前に読み切ってしまったという始末。それぐらい面白くて夢中になる本に出会ったのは久しぶりでした。

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今週読んだ本 2016/8/7~2016/8/13

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女性が自分の智恵と腕ひとつで、世間を渡っていく本がどうも大好き

私はどうも、女性が自分の知恵と腕ひとつで世の中を渡っていく本が好きな様です。
昨年末に読んだ広岡浅子しかり。
ブックレビュー 「土佐堀川 広岡浅子の生涯」 古川智映子 著

「あきない世傳」の舞台は江戸時代の享保の頃。生まれた家によって、生きる道が決められてしまう世の中である江戸時代。
武家に生まれれば否が応でも武士に、商家に生まれれば商いの道へ。しかし、それは男性だけの話。女性の生きて行く環境はさらに厳しく、同じ商家に生まれても、女ということで商いの勉強すらさせて貰えず、ひたすら家事に役立つ腕を磨きいずれは嫁ぎ先のために生きて行くことだけ許されていた時代です。それから幕末の広岡浅子の時代になっても同じ状況でした。
本当なら勉強すら許されない時代に、学びたいという姿勢を一生通して持ち続けて、女性ながらやがて自分の運命を切り開いていく、そんな小説にどうしても惹かれてしまいます。

主人公の「幸」は、学者の父親が亡くなり、父親の跡を継ぐはずだった兄も亡くなり、母親と妹と自分とが生きて行くために、9才にして大阪の天満にある五鈴屋という呉服商に一人奉公に出る事になります。
父親が存命だったころから、両親の目を遠慮しながら兄に学問を教わり続けていた幸は、商家に奉公に出てからも好奇心や向学心を持ち続けていました。
それは「知恵をつけたい。生きて行くための知恵をつけたい。だから、知識を得たい」という、生きるための武器を得たかったからなのです。その言葉に動かされた、「五鈴屋の要石」と呼ばれる大番頭をはじめ、幸が商いを学ぶため陰になり日向になり手助けしていくのです。
もちろん、しきたりに厳しい時代であり、商家であるわけですから、そう一筋縄ではいきません。しかし、本人が常に持ち続けていた知識への情熱が、困難を乗り越えて行くのです。

源流編とは

「あきない世傳」は、主人公「幸」が、西宮と武庫川の間にある津門という村で両親が健在で、兄に勉強を教えてもらいながら家事や妹の世話に明け暮れている7歳の頃から描かれ始めています。家族と別れて大阪天満の五鈴屋に奉公に出て、奉公に励むものの、五鈴屋の大黒柱であるはずの四代目徳兵衛が箸にも棒にもかからないほどの”あほボン”であり、三代目まで築き上げてきた店が傾き始め、大阪船場の大店から嫁いできた嫁が、夫に愛想をつかして出て行き離縁するところまでが、源流編となります。

そうなんです。この小説は続き物のようなのです。
ここまで読んで、居ても立っても居られず、次の「早瀬編」をすぐさま買ってしまいました。
丁度「早瀬編」が発売になったばかりで、書店の平積み並んでいたところ、手に取った本なのです。
平積みパワーすごいですねー。書店の思惑通りに、両方買っちゃいましたよ。

ついつい買ってしまう理由は、主人公の「幸」の魅力だと思います。真面目て口が堅く聡い子なのです。それでいて、将来別嬪さんになるような片鱗を見せているのです。
まさにシンデレラストーリーの香りがぷんぷんします。いったい幸がどう化けるのか?期待しない訳がありません。
この先のストーリー展開がどうなるのか、これが小説の醍醐味ですねぇ。

頑張る女性の姿を読むことで、自分が励まされる

続編が楽しみです。もちろん買いましたが。
この様な頑張る女性の姿をみていると、自分も頑張ろうという励みになります。
ちょうど、今、リオデジャネイロ・オリンピックが開催されています。選手のひたむきに頑張っている晴れ姿を見ていると「努力は人を裏切らない」のだなと励まされます。
とある年の「AKB48総選挙」でとあるアイドルが「”努力は人を裏切らない”そんな綺麗ごとを言うつもりはありません。」と言ったスピーチが忘れられませんでした。確かに人を裏切ることもあります。それが運であったりタイミングであったり、なにかがちょっと上手く噛みあわなくて結果が出せない時もあります。
しかし、努力した人にはそれまでのプロセスにおいて何かしらの物が残るものだと思っています。もちろんその点をスピーチでも話されていました。そう思うだけでも励みになりますね。

幸のこれからに、結果が花開くのか?花開かないけれど、なにかしらの物が残るのか?
そんな楽しみもこの小説の続編に期待しています。

あぁぁぁ早く!早く次を読もう。

続編のエントリーはこちら
「あきない世傳 金と銀」早瀬編 高田郁著:源流編の続編。主人公の人生に新たな展開が!

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