2017年7月29日に、パリ・オペラ座バレエ団と英国ロイヤルバレエ団の競演「バレエ・スプリーム」を観てきました。
ここのところ国内の公演を観に行っても、海外のバレエ団の公演を見逃してしまうという失態をしておりました。
6月のボリショイバレエ団の来日公演をうっかり見逃し。。。
もう少しで、このバレエ・スプリームも逃すところをどうにかチケットをゲットできてやっと行けました。
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バレエ・スプリームとは
バレエ・スプリームとは、世界屈指のバレエ団である、パリ・オペラ座バレエ団と英国ロイヤルバレエ団との競演での公演。
その名の通りスプリーム=最高ランクのバレエ団が滅多に無い公演を開催したわけです。
パリ・オペラ座バレエ団のチームリーダー及びスーパーバイザーは、オレリー・デュポン。
2016年にアデュー公演(引退公演)を行ってからは、パリ・オペラ座バレエ団の芸術監督に就任しています。
ちなみに前芸術監督はバンジャマン・ミルピエです。(妻は、女優ナタリー・ポートマン)
映画「ミルピエ〜パリ・オペラ座に挑んだ男〜」エキサイティングなミルピエの舞台作りが観られる貴重な映像
オレリー・デュポンが現役の頃は、チケットを取っても取ってもその度に「怪我で降板」となって、なかなか彼女の舞台を観られなかったのですが、引退してからはよく来日している気がします(気のせい?)
英国ロイヤルバレエ団のチームリーダーはスティーブン・マックレー
今回の公園でスティーブン・マックレーのキレッキレの「540」(ファイブフォーティ)が生で観られただけでも、高いS席のチケットを買った甲斐があったというほどでした。
※スティーブン・マックレーの「540」をご覧になりたい場合は、こちらの動画の8分32秒から
出演者たちも、
パリ・オペラ座バレエ団のプルミエール・ダンスーズになった、オニール・八菜
今年はよく観る パリ・オペラ座のエトワールになったばかりのレオノール・ボラック
※パリ・オペラ座日本公演の記事をまだ書いていない(汗
ソリスト時代から追っかけのように観ている、ミリアム・ウルド=ブラーム
英国ロイヤルバレエ団のプリンシバルになった、高田茜ちゃん(葛飾区の星です!)
同じく英国ロイヤルバレエ団ソリストの金子扶生さん
など、海外で活躍している日本人も観られるので期待が膨らみました。
公演プログラムと配役は次の通りです。
Bプログラム 7月29日の配役表
第一部 パリ・オペラ座チーム
グラウン・パ・クラシック
オニール・八菜、ユーゴ・マルシャン
ロミオとジュリエット
レオノール・ボラック
ジェルマン・ルーヴェ
チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ
ミリアム・ウルド=ブラーム
マチアス・エイマン
第二部 英国ロイヤル・バレエ団チーム
真夏の世の夢
高田茜
ベンジャミン・エラ
タランテラ
フランチェスカ・ヘイワード
マルセリーノ・サンベ
白鳥の湖 第2幕よりパ・ド・ドゥ
金子扶生
フェデリコ・ボネッリ
ドン・キホーテよりパ・ド・ドゥ
ヤーナ・サレンコ
スティーブン・マックレー
第三部 眠れる森の美女 ディヴェルティスマン
序曲:全員
リラの精:オニール・八菜
ローズ・アダージオ:高田茜、スティーブン・マックレー、ベンジャミン・エラ、ジェルマン・ルーヴェ、ユーゴ・マルシャン
オーロラ姫:ミリアム・ウルド=ブラーム
王子:フェデリコ・ボネッリ
オーロラ姫と王子のパ・ド・ドゥ:ミリアム・ウルド=ブラーム、ジェルマン・ルーヴェ
青い鳥(パ・ド・ドゥ):フランチェスカ・ヘイワード、マルセリーノ・サンベ
青い鳥(コーダ):フランチェスカ・ヘイワード、マルセリーノ・サンベ、ユーゴ・マルシャン
オーロラ姫と王子のパ・ド・ドゥ:ヤーナ・サレンコ、スティーブン・マックレー
王子:マチアス・エイマン
オーロラ姫:レオノール・ボラック
コーダ:全員
感想
第一部の構成が面白いと思いました。
通常このラインナップであれば「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」で場を盛り上げてから、最後に超テクニカルな「グラウン・パ・クラシック」で締めるというのが王道なのですが、初っ端から「グラウン・パ・クラシック」を持ってきたところが”魅せますよ”という心意気が感じられました。
しかも、オニール・八菜とユーゴ・マルシャンのコンビです。
この公演を観にきた日本人で、オニール・八菜を楽しみにしていた人は多いのでは無いでしょうか。
次の「ロミオとジュリエット」のバルコニーのシーンは、なんとバルコニーの舞台装置無しの演出。
なのに、まるでバルコニー(二人を隔てるもの)があるように、それを乗り越えて愛を交わし合うように踊るレオノール・ボラックとジェルマン・ルーヴェ。
二人ともエトワールに昇格して間も無いですが、さすがの実力を感じました。
パリ・オペラ座チームのトリは、ミリアム・ウルド=ブラームとマチアス・エイマンのチャイコフスキー・パ・ド・ドゥ。
ミリアム・ウルド=ブラームはソリスト時代からずっと注目してた人です。
その頃は金髪で白い肌、青い眼とまるで妖精のようでした。今は、お子さんも生まれ、すっかりしっとりとしたマダムになっています。
小柄な体格を生かして、小気味いいリズムでテンポの早い演目をキリリと踊ってくれました。
第二部の英国ロイヤルバレエチームも見所がいっぱいでした。
日本では珍しい「真夏の世の夢」をまさか高田茜で観られるとは感激です。
”妖精”という人間で無いキャラクターを、身体表現力の高さでコミカルでかつしなやかに伝えてくれるところはプリンシバルの実力でしょう。
”身体が音符”というのはこのことでしょうか。一挙手一投足が全て音楽を奏でているようでした。
そして、何と言っても見応えがあったのが、
ヤーナ・サレンコとスティーブン・マックレーのドン・キホーテのパ・ド・ドゥ。
どちらも超実力派。スティーブン・マックレーの切れ味の良いバジルに全く見劣りしない、ヤーナ・サレンコの正確なパが会場を沸かせていました。
スタンディングオベーションもあり(いや本当に自分も立ち上がりたかったですが、前の方の席だったため、後ろの方達に気を使って我慢して座っていました。)
とにかく「ブラボー!」の声も半端ない多さです。
さてさてさて
最後にぶっ飛んだのが、第三部 眠れる森の美女 ディヴェルティスマンです。
ディヴェルティスマンというのは「余興」とか「お楽しみ」という意味。
最初、序曲で出演者全員が登場した時点で、驚きでひっくり返りそうになりました(笑
なんと、4組のオーロラ姫と王子が一斉に登場です。
右を見ても左を見ても、オーロラ姫と王子です。
幕が開いた途端に自席で吹いたのは言うまでもありません。
例えば、ローズアダージオでは、16歳になったオーロラ姫に各国の王子4人とが踊ります。
”各国”の王子ですので、いろんな国の王子4人登場するものなんですが・・・全員がデジレ王子(主役)
「私が」「いや私が本物のデジレ王子です」と言わんばかりの配役です。
どれが本物の王子やねんっ!笑
青い鳥(パ・ド・ドゥ)でも、女性の青い鳥が一羽に対して、男性の青い鳥が二羽登場。
三羽の青い鳥を初めて見ました(笑
どれが本物の青い鳥やねんっ!笑
これがABT(アメリカン・バレエ・シアター)であれば、思いっきりお茶らけて演じるところでしょうが、何と言っても品行方正なパリ・オペラ座と英国ロイヤルがやるのですから。
面白いことを真面目にやることほど笑えるものはありませんヨ。
まとめ
世界屈指のバレエ団の競演という珍しい公演でした。
何から何まで一流で、目の保養となりましたが、綺麗だけで終わらず最後は、”真面目な面白さ”も加味されるというなかなか無い貴重な公演でした。
評判が高いとシリーズ化されることが多いバレエ公演ですが、ぜひこれはシリーズ化して来年もまた観ることができたら嬉しいと思います。
出演者がゴージャスなため、出演者調整が大変でしょうか、バレエファンは心待ちにしています。
また再び日本のバレエファンをときめかせて欲しいです。