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今週読んだ本 2015/12/27 ~ 2016/1/2
ぴんとこな 16巻 最終巻!
子供の頃は、お正月の楽しみと言えば「東映マンガ祭り」という映画を観に行くことでした。
親に連れて行って貰えなかったので(完全放任一家)、小学校2年生からはお小遣いを握りしめて、一人で行くのが楽しみでした。
そして、大人になった今は、やっぱりマンガ祭り!
いやーもうね、楽しみにしているマンガがいっぱいあるんですよね。
新刊が出るのを楽しみにしているマンガの一つがこの「ぴんとこな」です。
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ぴんとこな とは
さて、この”ぴんとこな”という言葉ですが、これは歌舞伎用語です。
『男らしく芯のある二枚目』という意味だそうです。
その言葉の通り、歌舞伎を題材としたマンガです。
マンガ「3月のライオン」もそうでしたが、私は才能があるのに努力を惜しまない人に惹かれます。
才能が無くて努力する、それで大成する人もいます。それはそれで本当に素晴らしいことだと思います。
しかし、才能が有って家柄が良くてそれでも尚、精進を重ねなければならないのがこの歌舞伎の世界。
歌舞伎だけに関わらず、能や狂言などは、生まれ落ちた家柄によって否応なくその道に進まなければなりません。
逆に、どんなに才能があって、努力を惜しまなくても家柄が一般家庭だったために、その道を極める事が難しいのです。
全てが揃ってこそ、花形役者になれるとても、難儀極まりない世界のマンガなのです。
この作品の主人公は、歌舞伎の名門の家に生まれた恭之介、一般家庭に生まれたけれども歌舞伎の世界を極めようと努力を重ねる一弥。一弥の幼馴染でもあり、恭之介が一目ぼれした相手あやめの3人です。
あやめ一途な恭之介が繰り広げる、あやめへのストレートな愛情表現にはもう、キュンキュン来ます。
色恋などもうとんとご縁が無くなってしまったので、バーチャルで恋をするには恭之介の様な美男子でお家柄が良くて素直な男子って良いわぁ~。
一方、幼馴染のあやめに恋心を残しながらも、歌舞伎のために全てを捨て、全てを賭け、全てを捧げるクールガイ一弥も、これまたキュンキュン来ます。
一弥の事が忘れられなずに、でも次第に恭之介のストレートさに惹かれていくあやめ。
もうたまら~ん(ハート)
小学館
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ぴんとこな 16巻
とうとう最終巻となってしまいました。
嬉しいような寂しいような。
家柄良し、才能あり、美丈夫、そしてやんちゃの歌舞伎役者と言えば、私の中では市川海老蔵が頭に浮かびます。
海老蔵がモデル?と思ったぐらいです。
とうとう、この最終巻で父親が亡くなるところなど特に重なってしまいますね。
そうなんですよね。息子の舞台を中継で観ながら息を引き取るシーンなどは、どんなにか嬉しくそしてもっと生きたいと思っただろうか。そう思いを馳せると思わず涙が出ました。
「舞台に立つものは親の死に目には会えない」という覚悟が必要とよく聞きます。
12代目 市川團十郎が亡くなった時は、たしか娘のぼたんが珍しく地方へ仕事へ行っていたときで死に目に会えるか?会えないか?の瀬戸際だった聞きます。そうなんですよね。親が危篤であろうとも、舞台をほっぽり出すわけにはいかないのが舞台人の宿命なんです。
若い世代が継ぐために、家を越えて伝承しようとする、先輩役者たちの気持ちが溢れるシーンはこれまた涙が溢れます。
大切な文化を育てたい継げたい、どんな歌舞伎役者でも想っていることだと思います。
それにしても、歌舞伎の楽屋も、バレエの楽屋もおんなじだなぁと。
結構、緊張する舞台の前なんで、楽屋って異様に盛り上がるんですよね、気分的に。
アホな冗談言ったりとか。
さて。
いまや歌舞伎は年配の方が楽しむ物の様になってきていますが、このマンガを読んだらきっと歌舞伎が観に行きたくなるはずです。
もし行きたくなったら、歌舞伎座には「一幕見席」という安いチケットがあるので、それから入門することをおススメします。
私は「古典演劇概論」という授業を取っていたために、レポートを書くのにこの「一幕見席」には本当にお世話になりました。
安いですし、「うーん難解で退屈したー」と思ってもすぐに出られます。
一幕見席で”面白い!”と感じたら、歌舞伎を見た事のある知り合いに連れて行って貰うと行きやすいです。
私の歌舞伎全幕デビューは、バレエのレッスンメイト(先輩)にお正月に連れて行って貰いました。
(彼女は着物好き、落語好き、歌舞伎好き でもバレエ踊っているという幅広い趣味の持ち主でしたなぁ)
もちろん、そんな時はお着物で行きましたよ。
しかし、歌舞伎座には目の肥えたお着物好きがわんさかいますので、下手に着物で気張るよりかは、洒落たワンピースで行った方が気楽かもしれません。
まとめ
恋愛ものでキュンキュンしたい方はおススメです。
それと、このマンガをきっかけに、ぜひ日本の伝統文化に触れて欲しいと思っています。
おそらく歌舞伎は永遠に無くならないと思いますが、観客あっての舞台です。また、日本が誇れる芸術の一つです。
今、歌舞伎以外の舞台芸術は、それを披露したくてもホールや会場がどんどん無くなっていっています。
歌舞伎を中心に舞台芸術を発展させるためにも、歌舞伎座に劇場に足を運んでほしいと思って本を閉じました。