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世界バレエフェスティバルの公演とは
3年に1度のバレエの祭典「世界バレエフェスティバル」
2週間に渡って公演がつづき、世界のトップクラスのダンサーが来日します。
バレエ団を超えて、ましてや国を超えてトップダンサーが集まる公演は、世界で唯一、東京で行われる「世界バレエフェスティバル」なのです。
この公演に招待されるダンサーは、出演できることが一つのステータスでもあり、出演者として選ばれることに誇りを持っている公演でもあります。
そのため、他のバレエ公演と比較して出演者も多く、なんと4時間にも渡るバレエ公演となるのです。
2週間に渡って、全幕公演とガラ公演が上演されます。
全幕公演とは、1つのストーリーを最初から最後までお芝居形式で上演するもので、
ガラ公演とは、いろんな作品のハイライトシーンのみをピックアップして上演するものと2種類があります。
その中でもひときわ人気で、プラチナチケットとなって入手が非常に困難なのが「ファニー・ガラ」がある、2週間のバレエウィークの最後を飾る「スペシャル・ガラ公演」となります。
「ファニー・ガラ」とは文字通り、出演者も観客も大声を出して大笑いして楽しめる演目です。
毎回、出演者がいろいろ趣向を凝らして、男性は女性の衣装を着てトウシューズで踊ったり、その逆もあり。
最近は、日本のアニメキャラに扮装して登場してくる傾向があります。
例えば「眠れる森の美女」のオーロラ姫とデジレ王子の結婚式の場面で、お祝いに駆け付ける猫が男性が女装したハローキティだったり・・
お笑い満載の演目なのですが、なにしろ出演者たちがとても楽しそうにやっているのが観ていて面白いのです。
通常、観客席から「ブラボー」の掛け声は、男性のみで女性はしないものという不文律があるのですが、この時だけは女性も「ブラボー」だって「やんややんや」でも「ヒューヒュー」でも「キャーキャー」でも何と言って囃し立てて良いのです。
これが結構スカッとするのですよね~。
さて、今回の最終日の「スペシャル・ガラ」は、この世界バレエフェスティバルを立ち上げ、日本バレエ界に貢献した佐々木忠治さんが2016年に亡くなってから、初めての世界バレエフェスティバル。
そのオマージュとして、名称を「Sasaki GALA」として上演することになりました。
今回の世界バレエフェスティバルでは、ガラ公演Aプログラム、ガラ公演Bプログラム、スペシャルガラの3回足を運びました。
Aプロ・Bプロについては別記事で書くとして、今回はスペシャルガラについて、自分のための記録として書き残しておこうと思います。
プログラム
第一部 17:00~18:00
「ドリーブ組曲」 レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ
「ライムライト」 エリサ・バデネス
「白鳥の湖」よりグラン・アダージオ オレシア・ノヴィコワ、デヴィット・ホールバーグ
「アリシアのために-アリシア・アロンソに捧ぐ」ヴィエングセイ・ヴァルディス
「タイス(マ・パヴロア)より」 マリア・アイシュヴァルト、ロベルト・ボッレ
「ドリーブ組曲」のレオノール・ボラックは可愛いとしか言いようが無い程可愛い。2016年にパリ・オペラ座のエトワールになってから数々の役をこなしてきたが、相変わらずのフレッシュさと可愛さを兼ね備えているところはこのままでいて欲しいダンサー。
今回、ケガのためにスペシャルガラに出演できなかったミリアム・ウルド=ブラームは2005年から応援していて、2012年にエトワールになってからはどんどんマドモァーゼルからマダムに変身し、小柄なのに貫禄すら感じます。そのようになって欲しいようななって欲しくないような、ファンとしては微妙な気持ち。
第二部 18:15~19:15
「ロミオとジュリエット」より 第1幕のパ・ド・ドゥ サラ・ラム、マルセロ・ゴメス
「デグニーノ」 マリア・コチェトコワ
「タチヤーナ」 アンナ・ラウデール、エドウィン・レヴァツォフ
「モノ・リサ」 アリシア・アマトリアン、フリーデマン・フォーゲル
「ワールウィンド パ・ド・ドゥ」 ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ
「ローレンシア」 マリーヤ・アレクサンドロワ、ウラディスラフ・ラントーラーフ
第二部は、コテコテの古典作品というよりも、モダン作品が多かった。
特に記憶に残っているのは、マリア・コチェトコワの「デグニーノ」FBでもTWでもフォローしているほどのファン。
「デグニーノ」を観ているうちに、私の頭の中にはiPhoneのロールプレイングゲーム「Machinarium」が浮かんできた。
つまり無機質な金属的な、そんな風景とパフォーマンスが舞台上に繰り広げられた。
コチェトコワが、リハーサルの様子をFBとTWにその一部をシェアしていたので、ここに貼っておく。
ちなみに「デグニーノ」とは、モスクワ市郊外の街の名前。
第三部 19:25~20:20
「月に寄せる七つの俳句」より パ・ド・トロワ シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ、エドウィン・レヴァツォフ
「リーフ(葉)」 ジル・ロマン
「ボレロ」 上野水香、東京バレエ団
第三幕は、佐々木忠治さんへのオマージュ。
「月に寄せる七つの俳句」より パ・ド・トロワ は、佐々木忠治さんが振付家ノイマイヤーに依頼して作った作品。
一茶、蕪村、子規、素堂らいの俳句に基づいて創作されたもの。
俳句の世界を”踊”で表現した作品。ダンサーのシルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ、エドウィン・レヴァツォフが幽玄に踊っているのが印象的だった。多くを語らない俳句を、”静”の舞によって表現された日本人の心をそのまま表した作品だった。
「ボレロ」は何度観ても感動的。フィナーレに近づくに従って盛り上がる音楽に、多数の男性ダンサーを傅かせる中央の女性ダンサーはドラマチックだった。
第四部 20:35~21:25
「ウルフ・ワークス」 アレッサンドロ・フェリ、フェデリコ・ボネッリ
「マルグリットとアルマン」より アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー、デヴィット・ホールバーグ
「プルースト -失われた時を求めて」より”モレルとサン・ルー” ロベルト・ボッレ、マチュー・ガニオ
「アー・ユー・アズ・ビッグ・アズ・ミー」 レオニード・サラファーノフ、ダニール・シムキン、ダニエル・カマルゴ
「ドン・キホーテ」 タマラ・ロホ、イサック・エルナンデス
フィナーレ「眠れる森の美女」よりアポテオーズ
今回の世界バレエフェスティバルのトピックスの一つが、アレッサンドロ・フェリの出演。
”私のミューズ(女神)”と言っていたほどのファンだったのだが、2007年に引退してしまった。
そのフェリがなんと再度舞台に立つことに。再び姿を観られるとは思わなかったと感激。
アレッサンドロ・フェリと言うの名前をご存知なくても、Stingと共演したこの動画は観たことがある人が多いのではと思う。
世界バレエフェスティバルの醍醐味と言うと、普段では考えられないバレエ団を超えての共演。
その極みともいえるのが、「アー・ユー・アズ・ビッグ・アズ・ミー」 レオニード・サラファーノフ、ダニール・シムキン、ダニエル・カマルゴの三人。
レオニード・サラファーノフはミハイロフスキー・バレエ団
ダニール・シムキンはアメリカバレエシアター
ダニエル・カマルゴはオランダ国立バレエ団
この3人はそれぞれのバレエ団でトップを踊っているため、まず通常の公演で”共演”はありえないのである。何故ならば、王子は一人で良いのだから。
世界のトップ男性ダンサーの3人が繰り広げる躍動感あふれるモダン作品は眼福としか言いようの無い演目。
ファニーガラ 21:25~
ファニーガラについてはこちら