バレエ鑑賞大好きです。
好きなものがいっぱいあって人生色とりどりなさゆりっぷです。
2022ー2023シーズン 新国立劇場バレエ「くるみ割り人形」1月2日昼公演に行ってきました。
例年なら、年末クリスマス前までに行くのですが、今シーズンはなんだかんだと予定が入り行く機会を逃していました。
年が明けて、元旦も過ぎ、自分の生活が少し落ち着いた1月2日の昼公演に足を運んでみました。
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人が戻って来たと感じた劇場
東京・初台にある新国立劇場の入口には、オペラ「アイーダ」のセットが飾ってありました。
「古代太陽神ラー」が堂々とお出迎えです。
舞台用の大道具なので当たり前なのですが、その大きさに圧倒されました。
一瞬にして古代エジプトにタイムトリップした気分になります。
流行り病中は、劇場が全中止になったり、再スタートしてもたびたび中止になったりしていましたが、今シーズンの「くるみ」には大勢の人が来ていました。
この数年間、芸術で生活している人たちは随分大変な思いをされているのでは無いだろうかと、なるべく行ける公演には足を運んでいました。
スタッフに陽性者が出て中止になることも多々だったのですが、12月23日からスタートして9日間13公演、今のところ全公演が上演されているのが、ファンとしても嬉しいところです。
私は、もちろん公演も楽しみにしていますが、開演前のざわめきや、幕間にシャンパンや軽食を楽しむ時間もとても楽しみ。
新国立劇場や上野の東京文化会館ではレストランが併設されているため、シャンパンも結構良いメーカーの物が提供されているのも嬉しいです。
(お値段も結構それなりにお高いですが 笑)
前日の夜に夜更かしをしたことで、今回はお酒は遠慮して軽食を選び、少し遅いランチ代わりにしました。
ハムと野菜とチーズがサンドされており、お味としては至って普通でした。
新プリンシパルの木村優里さんの金平糖
今回の公演で一番楽しみにしていたのが、木村優里さんのクララ・金平糖役。
2022年にファースト・ソリストからプリンシパルになり、プリンシパルで迎える初めての「くるみ」。
木村優里さんのプロフィールについてはこちら
彼女は、日本国内で活躍するバレエダンサーとしては、エリートコースを歩んできました。
長身と、長い手足ととても恵まれた素材を持っています。
まるでエリートまっしぐらという感じですが、とても努力家。
学業においては、バレエをやっていることで学校を休みがちだったのですが、それについて教師や周りに何も言われたくないという理由で、常にトップの成績を納めてきました。
本当に教師や周りから文句を言われるのか?というと定かではありませんが、常に自分の追い求めている理想の環境を作り、自分の夢を守ることは並大抵なことではないと感じます。
ましてや”バレエダンサーが日本で食べていく”という事は、実際の奇跡に近いです。
日本では芸術で食べていくこと、特にバレエで食べていくことは、女性にとっては至難の業。
大抵の女性バレエダンサーは、踊りながらアルバイトや教えをしながらでないと生活はできません。
日本の環境では生きて行けないので、大抵の女性バレエダンサーは海外で働く道を選びます。
それを、大抵は留学生という経歴を持っている人が多い中、日本のバレエ教室出身で、そのまま日本の国営のバレエ団に入団し、プリンシパルにまでなるという事は、彼女ぐらいしかいなんじゃないでしょうか。
それぐらい努力を積み重ねてきた人です。
いよいよその木村優里さんが主役の公演を観られるのは、至福だなぁと感じました。
しかし、今回とても残念なアクシデントがありました。
金平糖の精のバリエーション(ソロで踊る部分)の後半で転倒され、立ち上がるまでほんの少し間があり、再び最後まで踊り切られましたが。
主役の金平糖の精のパートは、グラン・パ・ド・ドゥと言って、男性の主役の方と二人で踊ります。
まずは、アダージオと呼ばれる、二人でゆっくりとした音楽で踊ります。
次は男性主役のソロパートがあり、その後に女性主役のソロパートとなります。
最後はコーダと言われて、テンポの速い音楽で再び二人で華やかに踊りフィニッシュします。
ソロパートを踊り切った後、超絶技巧が続くコーダも、グランフェッテと言って難しい回転も難なくこなしていました。
しかし、想像するにおそらく捻挫されたのでは無いでしょうか。
舞台の一番最後のカーテンコールでは出てくるのが少し遅れ、挨拶を終えた他のキャストが何となく心配そうに出てくる予定の舞台脇を見ていました。
パートナーの渡邊さんがエスコートして出て来た時は、舞台上のキャストたちも客席もホッとした空気が流れたような気がしました。
その後、一旦幕が降りたあと主要キャストだけ再び個別にカーテンコールをするのですが、そこも木村優里さんの部分はカットされていました。
おそらく自分の踊られる部分は、気合とアドレナリンで見事に踊り切られたけれど、それ以上は無理が出来ないか無理を控えたのかのいずれかかと思います。
実は私自身は、グラン・パ・ド・ドゥの前のシーンでも、木村さん今日はなんだか足が不安定に感じるなぁと思って、何度もオペラグラスで彼女の足を見ていました。
しかし、そこはプロだし・・と何度も頭の中で否定しては、オペラグラスで見て・・の繰り返しをしていたのです。
もしかすると、ここしばらく足が不調だったことも考えられます。
日本ではこの新国立劇場バレエ団のみですが、海外では主要なバレエ団はもちろん大小さまざまなバレエ団は、この時期「くるみ割り人形マラソン」と言って、約2週間ほど連続でくるみの舞台が続きます。
日によっては昼・夜2公演あり、私が行った1月2日も昼・夜2公演でした。
この時期疲労が溜まるのでケガも出やすい時期なんですよね。
また、木村優里さんは1月中旬には「ニューイヤーバレエ」の公演、2月には「コッペリア」の主役が配役されており、「くるみ割り人形」の公演の他に、これらのリハーサルも並行して行われているはずです。
お疲れが溜まっておられるのではないでしょうか。
どうか、大事に至らない様にお祈りするばかりです。
そしてまた華やかで若さ溢れる瑞々しい踊りを見せて欲しいと願ってやみません。
くるみは何度観てもワクワク
毎年年末は、どこかしらのバレエ団のくるみ割り人形を観に行っています。
クリスマスの雰囲気が一層盛り上がる気分にもなるし、あぁ年の瀬だという季節感も嬉しいです。
幕が開く前の、オーケストラが最初に奏で始める、イントロを聞いただけでもワクワク。
クラッシック音楽は詳しくありませんが(だからこそ?)チャイコフスキーは天才だと思います。
クリスマスパーティが始まる期待感と、冬の冷たさなどメロディーを聞いただけで情景が浮かんでくるようです。
どこまでも美しい「雪の踊り」他
見どころはいっぱいありますが、なんと言っても私は「雪の踊り」のシーンが好きです。
キラキラと、時には風に乗って、時には吹雪のように、舞い踊る雪の踊りがそれはそれは美しくて涙が出ます。
そこにコーラスが重なるこで、人の声の温かさが加わり、目の前の情景が五感を通して伝わってきます。
あまりにも美しいシーンにしばし見惚れました。
しかし、雪の踊りはくるみの中でダンサーにとっては一番過酷。
例えると、6-7キロくらいの距離をまぁまぁ早いペースでジョギングしながら、ジャンプを飛び、しゃがみ、片足で立っている、という感じでしょうか。
踊り切って舞台袖にはけたら、ヘトヘトになっていることでしょう。
そんな疲れなど微塵も見せず、美しい整ったそして心を揺さぶるシーンを届けてくれて、本当にありがとうございます。
ウェイン・イーリング版くるみ割り人形
以下、後日加筆予定