静かな佇まいの原美術館で、アヴァンギャルドな蜷川実花展が開催中
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蜷川実花写真展
フォトグラファーの蜷川実花写真展に行ってきました。
”ニナミカ”の愛称で知名度が高い彼女。
作品はと言うと、金魚・花・女優をモチーフに、赤・青・黄・緑と原色を多用しています。
そのせいか、オーディエンス側は「好き・嫌い」の好みがはっきりと分かれてしまいます。
私は、好みか?好みで無いか?と聞かれると微妙なところ。
女優のモチーフは、この清楚な女優からエロさを引き出すのはニナミカで無いと・・・と魅入ってしまいます。
一方では、金魚や花モチーフになると、少々飽きつつあるかも・・・と思ってしまいます。
今回の写真展にも出していた、桜の写真などは一眼レフを買ったばかりの初心者が、取り損ねた?とも勘違いしてしまいそうな作品もあります。
しかし、ニナミカの何が凄いかと言うと「彼女しか撮れない写真」を撮り切っていることでしょう。
写真を一目見ただけで「あ!これはニナミカだ」とすぐに分かるのです。
そう、彼女ならではの彼女しか撮れない写真を撮るのですよ。(こんちくしょう 笑)
アラーキーなら「これは!アラーキーだ」と分かる写真を、
私の好きな写真家 上田義彦なら「これは!上田義彦だ」とる写真を世に送り出してきます。
そう、その人の写真に個性が如実に写真に表れているのです。
写真で何が一番難しいかと言うと、その人の”個性”をいかに表現するかだと思うのです。
綺麗な写真は、カメラやレンズがそこそこ良ければ誰でも撮れます。
美しい写真は、美しい景色の場所に行けばそこそこ撮れます。
幻想的にボケの利いた写真を撮ろうと思ったら、レンズの力を借りれは撮れます。
顔写真などは、数百円分のコインを機械に投入すれば自動的に撮ってもくれます。
しかし、”その人らしい”写真を撮るというのはとても難しいんですよね。
会社で仕事をしていても、私の代わりに今の仕事をやれる人はいくらでもいますし、替えが利くのです。
ある程度の写真などは、カメラ・レンズ・被写体が揃えば誰でも撮れます。
世の中カメラマンなど掃いて捨てるほどいます。
カメラマンだけではなく、バレエをやっている時期は、
「世の中、女のダンサーなどは掃いて捨ている程いるのだから、要望以上のパフォーマンスを出せないなら、役を交代してもらいます」などと言う言葉は、浴びるように聞かされ続けていました。
その人しかできない仕事、その人しかできない踊り、その人しか撮れない写真
これは、人生の目的がなかなか見つけられないのと同じ様に、
”私って何だろう?”
”私らしさって何だろう”
”私は何のためにこの世に生きているのだろう”
そう迷い続けている自分がいます。
私は、一時期写真に夢中になり、写真の勉強をして技術に関してはそこそこ習得して来てはいましたが、カメラやレンズが便利になればなるほど、自分の”個性”に辿り着け無い虚しさに、写真を投げ出してしまいました。
その点ニナミカは、好かれようが嫌われようが、自分のスタイルを崩さず続けているところは、お見事。
今回の写真展も、アヴァンギャルドな彼女らしい、キレイの中にグロテスクなモチーフが見え隠れしたり、過度なまでに色のコントラストをつけた作品が多く展示されていました。
レトロモダンな清楚な印象の原美術館が、ニナミカカラーにジャックされて、 まるで、普段は楚々とした貴婦人が、ニナミカの手によって娼婦に変身し、世の男性をエロティックに惑わしているかの様に見紛うギャップです。
それはやっぱり、蜷川実花というフォトグラファーの力量だと感じた写真展でした。
写真展情報
場所:原美術館
住所:東京都品川区北品川4-7-25
会期:2015年1月24日(土)-5月10日(日)
時間:11:00-17:00 水曜日のみ11:00-20:00
休館日:月曜日
入館料:1,100円