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徳島 上勝町:ゼロウェイストアクションセンターでゴミについて学ぶ

徳島県勝浦郡上勝町へ行ってきました。

今回の旅の一番の目的が、ゴミ・リサイクル80%を達成している上勝町の実態を見てみたかったということ。

さっそくいろいろ教わってきました。

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施設内に併設されているホテルに泊まらなくても、「ゼロ・ウェイスト・スタディーツアー」に参加することができます。

事前予約が必要です。

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上勝町のゴミ対策

今回の徳島県上勝町への旅の一番の目的、上勝町のゴミ対策について教わる機会を得ました。

スタッフの方にゴミ分別場を案内してもらいます。

建物のほとんどがゴミ分別場。ぐるっと敷地を取り囲んでいます。広い。とにかく広いんです。
ここのパネルの前でまず説明を受けます。パネルに気付きました?窓枠の廃材で出来ています。

左側から2枚目の黄色いポスターをご覧ください。これがゼロウェイストセンターを上からみた見取り図です。

「?」の形をしているのがお分かりでしょうか。

下の〇がホテルの位置。?の下の濃い部分2区画がゼロウェイストセンターの公共施設。
斜線になっている部分が分別場。

その下が「くるくるショップ」

説明を受ける場所からホテルフロントと、「くるくるショップ」を振り返ると、同じように壁が廃材で作られています。

上勝町はなぜゴミ運動を始めたのか?

まず、上勝町のゴミの歴史について説明を受けます。

上勝町がなぜこのようなゴミ運動を始めたのか?

それは多くの小さな自治体が抱える共通の問題でもあります。

昔、田舎ではゴミというのはたいてい庭の畑の隅で適当に燃やしていました。

生ごみは畑の一角に埋めておいて、それがどうにか微生物で分解されたら、畑の肥やしにするか、そのまま放置が殆どでした。

時代とともに、ゴミは生ごみや紙ごみだけでなく、プラスチックゴミや、紙とプラスチックが混じった混合ゴミの割合が増えてきます。

そうなると、畑の隅で燃やすことでダイオキシンが発生することになり、人体にも環境にも影響が及んできたのです。

「容器包装リサイクル法」で焼却炉を設置したが・・

1997年には「容器包装リサイクル法」が制定され、むやみに燃やせなくなります。

仕方なくゴミを燃やすことを諦め、各家庭では収集ゴミとして出すことになります。

上勝町は頑張って小型焼却炉を2基設置したのですが、この山村の規模的にも、予算的にもこれが一所懸命。

大規模なゴミ焼却炉を建設するには小さな山村にとってはオーバースペックであり、予算もありません。

「ダイオキシン類対策特別措置法」

問題はさらに続きます。

上勝町の2基のごみ焼却炉も、日本国中の小さな自治体が持っている「焼却炉」が性能が高くないことです。

例えば、東京都のごみ焼却施設であれば、燃えるゴミに少々のプラスチックゴミが混じっていようが、高温・短時間で一気に燃やしてしまいます。

これだとダイオキシンの発生もかなり防げるのですが、性能の低い焼却炉だと相変わらずダイオキシンなどの問題が出てきます。

それは、上勝町だけの問題では無く、日本国中の中小の自治体が、ある意味日本国中が抱える問題となりました。

とうとう2000年には「ダイオキシン類対策特別措置法」が制定されます。

中小の自治体は、高性能の焼却炉を持っている自治体にお金を払ってゴミを処分してもらうしか無くなってきたのです。

また民間のゴミ焼却業者へ処分料を払ってゴミを燃やしてもらうことになったのです。

数少ない財政の余裕のある自治体であれば、高性能のごみ焼却炉を建設して、それが財政を潤すひとつの道ともなりますが、逆に処分してもらう方の自治体は、どんとん財政がひっ迫してきたのです。

上勝町も漏れなく、ごみ処分料が財政を大幅にひっ迫した側に。

ひっ迫する財政

小さな過疎の村の、僅かな財政がゴミ処分料として流出してしまう。

上勝町は、高齢者が増えていく一方の過疎の村で、老人福祉にも予算が必要になってくるのに、ゴミ問題で財政は年々苦しくなってしまいます。

35分別スタートとゼロ・ウェイスト宣言

そこから抜け出すだめに2001年から「35分別」つまりゴミを35種類に分別し、民間業者へ委託してゴミ処分依頼する必要のあるもの、自分たちの焼却炉で燃やせるもの、資源ごみとして再利用できるものを分別することをスタートしました。

2000年の「ダイオキシン類対策特別措置法」からわずか1年で、立ち上がったのです。

2003年には上勝町議会で「ゼロ・ウェイスト宣言」を可決しました。

ゼロ・ウェイストとは

無駄・ごみ・浪費 をなくすという意味。 出てきた廃棄物をどう処理するかではなく、そもそもごみを生み出さないようにしようという考え方です。

スタッフの方にお聞きしたところ、最初は「ゼロ・ウェイスト宣言」と町民に伝えても、「はぁ?ごみうぇいすとって何なやろか?」と言う反応で全く伝わらなかったのだそうです。

ミッションとしての言葉であればしっくり来るのですが、老人の多い過疎の村にとってこの言葉が浸透しなくて困ったのだとか。

そこで、町民に伝えるときは「ゴミ・ゼロ運動」という言葉に置き換えて伝えていったのだそうです。

ゼロ・ウェイストアカデミーの発足と上勝町ゼロ・ウェイストタウン計画

さて、上勝町でゴミの35分類をスタートしたのは良いが、それをどこで分類しどうやって収集するのかが問題となります。

一方的に「ゴミを分別しろーーー」と押し付けても、町民の理解を得るのはなかなか難しいところもあります。

「NPO法人ゼロ・ウェイストアカデミー」を立ち上げ、ゴミの分類方法から町民に分かりやすいようにレクチャーをスタートします。

一番伝わるのは「数値化」「可視化」です。

例えば下の写真を見てください。

分別したゴミを置く場所には、

「何を」・・・雑誌や雑紙が

「どこへ」持って行くと・・・徳島市へ

「何になる」・・・再生紙

「いくら」・・・このゴミを徳島市でリサイクルすると上勝町へ1キロ6円の収入が得られる。

と分かりやすいように緑の文字で書かれています。

つまり、この運動に町民が協力してくれることによって、上勝町がひいては町民自体に6円の収入が発生しますよということを伝えています。

これは町民だけでなく、私でもモチベーションが上がりますね。

例えば下の写真を見てください。

分別したゴミを置く場所に、

「何を」・・・その他の紙、例えばカップラーメンの容器やカップラーメンのふたなどの紙の裏にプラスチック加工がされているもの。

「どこへ」持って行くと・・・徳島市へ

「何になる」・・・固形燃料になる

「いくら」・・・しかしその他の紙を固形燃料として処分するためには1キロにつき37円を徳島市に払うことになる。

と分かりやすいように赤の文字で書かれています。

このゴミを処分やリサイクルをするために、上勝町から「収入」「支出」どちらが発生するのかが、色分けと金額で書かれているのです。

すごく分かりやすいです。

自分でもゴミを分別

少し難しいゴミにチャレンジ

紙ゴミ・瓶・缶などは分かりやすいのですが、ちょっと難しいゴミを持ってきて、分別レクチャーを受けてみました。

上勝町ゼロ・ウェイストセンターに来る前に、東かがわ市で2泊3日の勉強会に参加していて、その時に事務局の用意してくれたバインダーを試しにゴミとして出してみました。

(事務局のみなさんゴメンナサイ)

紙パルプで出来たボードに金具が着いています。

まずは「本当にゴミなのか?」ですよね。

今回は”ゴミ”として出したのですが、「くるくるショップ」で再利用できるものです。

バインダーが欲しいと思っている人の手にそのまま渡ると良かったです。

しかし、分解し始めてからそれに気づきました。

まだまだ甘い・・・

せっかくなので、ゴミとしてどう分類するのかスタッフの方にお手本を見せてもらったところ、まずは金属部分を取り外します。

金属は再利用され、ボードの部分は木として処分。金属部分は収入になりますが、ボードの部分は支出になります。

プラスマイナスで、支出の方が大きくなってしまいました。

上勝町のみなさんゴメンナサイ

なるほど!

ついつい普段のものの見方は”ゴミ”としてしか見ていませんでしたが、これは収入なのか支出なのかとしてみると面白いです。

いかに収入を多くしようか?と一生懸命に考えます。

だって儲かると嬉しいじゃないですか。

感想

広いゴミ収集場

ゴミと向き合う、と思うと少しネガティブな気持ちに私はなってしまいますが、儲かるか?儲からないか?という視点で見ると、ゴミすら宝に見えてきました。

ゴミ分別場に持ち込まれるものが、全てに値段がついています。

もし儲からないのであれば、どうすると支出を減らせるのか?など真剣に考えてしまいます。

また、その一歩手前で”ゴミを出すか?出さないか?”と考えると、生活すら変わってくると感じました。

実は上勝町の温泉ホテルでビールのツマミにとスナック菓子を買ったのです。

すると梱包していた袋のプラスティックゴミが発生するわけですね。

プラスティックゴミは、分別場に出す前に綺麗に洗って、干して、それから出すことができます。
(プラスティックゴミが乾いていない場合は干す場所も確保されていました。)

それを考えた途端に私は「面倒くさい~~~」と思ってしまったのです。

しかしツマミは欲しい。

するとスナック菓子を買うのではなくて(旅の途中で無ければ)地元産の新鮮で美味しい野菜をサッと茹でたり、レンジでチンしたりした方が、私にとっては面倒が少ないのです。

そうなるとスナック菓子から卒業できるわけで、ひいては生活習慣を改善することもできるのです。

すごくないですか!

それと驚いたのは、これだけ広いごみ収集場なのです。

たくさんのゴミが集まっているところなのですが、一切嫌な臭いがしないのです。

なぜならば、ここへ出す前に町民は綺麗に洗って干してそれから持って来ているからです。

スタッフの方に聞いたところによると、ゴミ収集業者の人が「各地からゴミを集めているが、上勝町のゴミは臭くないのですぐ分かる」と言っているそうです。

つまりゴミのブランド化。

ゴミですらブランドになっているのです。

全く臭く無いので、ゴミ収集場の中にホテルがあっても快適に過ごすことが出来ます。

私からの質問では、

ゴミを洗った時の排水はどうなっているのですか?各家庭の排水はどうなっているのかを質問してみました。

洗った排水は各家庭に浄水槽があるため、そこで綺麗にしてから下水道へ流しているそうです。

生ごみは、各家庭に微生物が分解するタイプのコンポストが設置されていて、そこで土に帰るそうです。

コンポストの設置は一部は自治体負担(これは東京都もやっています)

この大きなゴミ収集場だけに頼るのではなくて、ある程度ゴミ対策は各家庭でしっかりやっているとのことでした。

それと、ここからは私の推測ですが、、、

なぜこのような施設を建てることが出来たのか?

それも不思議じゃないですか?

上勝町はゴミ・ウェイスト運動で世界中から注目されていますが、それ以外にも日本全国から注目されているすごい!ところがあるのです。

『葉っぱビジネス』をご存じでしょうか。

東京や京都・大阪の有名な割烹や料理店、ホテルのお料理などに添えらえている紅葉の葉や木の芽、ほおずきなどの、いわゆる「つまもの」と呼ばれているものです。

食べないけれど、それがあるだけでお料理の美しさや格がグレードアップされる「つまもの」

上勝町のお年寄りたちは、このつまものを生産しているのです。

関西経済圏が近いことも味方していまや上勝町の基幹産業となり、全国シェアの80%を上勝町から出荷されています(2020年時点)

80歳のおばあちゃんの年収1000万円などざらなのだそうです。

その他の自治体で、80歳でこれぐらいの規模のビジネスが出来ている人がどれぐらいいるのでしょうか?

確かにゴミ処理は財政を圧迫し、ただただ垂れ流すだけの支出です。

ガンガン稼いでいるおばあちゃんたちからの税収で支出を食い止めることに役立てた方が、税金の払い甲斐があるものだと、私なら思います。

ましてやその自慢の無臭のゴミ収集場におしゃれなホテルまで建てて、私のような好奇心満々の人間がホイホイと泊まりに来たら、さらに儲かりまっせ。

そう思うと、上勝町の数字に対する鋭い目線と、ビジネス感覚の高さにただただ驚くばかりです。

「ゼロウェイストアクションホテル HOTEL WHY」

ホテル内部についてはこちらの記事をご覧ください。

朝ごはんについてはこちらの記事をご覧ください。
リサイクル「くるくるショップ」についてはこちらの記事をご覧ください。

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