【新潟 弥彦】彌彦神社の門前で見つけた「聖人清水」:お水取り|親鸞聖人の伝説と酒・クラフトビールのある町歩き

彌彦神社をお参りしたあと、弥彦の門前町をぶらぶら歩いていると、ちょっと気になる石碑を見つけました。

緑に囲まれた細い入口の脇に立つ石碑には、

「親鸞聖人清水」

の文字。

有名な観光スポットのような大きな看板があるわけでもなく、知らなければそのまま通り過ぎてしまいそうな場所です。

でも、こういう場所を見つけると気になります。

「この奥に何があるんだろう?」

石碑の横の細い道を、少し入ってみることにしました。

親鸞聖人が杖で湧かせたと伝わる「聖人清水」

聖人清水(しょうにんしみず)は、浄土真宗の宗祖・親鸞聖人にまつわる清水です。

親鸞聖人は承元元年(1207年)、35歳のときに越後国へ流罪となりました。

越後で暮らしていた時期に彌彦神社を参拝し、その際、当時この地の庄屋だった林部四郎左衛門の家に宿泊したと伝えられています。現在の聖人清水は、その旧林部宅の裏にあります。

この一帯は岩盤が硬く、昔は水不足に悩まされていたそうです。

ある日、親鸞聖人は、近くの川から水を汲んで運んでくる老女の姿を目にしました。

それを哀れに思った親鸞聖人が、林部家の裏にある竹林の一角を持っていた杖で突き、仏に念じたところ――

たちまち清水がこんこんと湧き出した。

そんな伝説が残されています。

以来、人々は親鸞聖人の徳を喜び、この水を「聖人清水」と呼ぶようになったのだそうです。

石碑の横から細い道を入ってみる

石碑の横にある道は、人ひとりが通れるほどの細さ。

木々が生い茂っていることもあって、

「本当にここを入っていいの?」

と少し迷うような雰囲気があります。

でも、その奥へ進んでみると、石に囲まれた小さな水場が現れました。

これが聖人清水です。

写真で見ると、本当に小さな清水。

華やかな観光名所ではありません。

けれど、ここに800年以上も前から語り継がれてきた物語があると思うと、目の前の風景が少し違って見えてきます。

昔、このあたりには十分な水がなく、毎日の暮らしのために川まで水を汲みに行っていた人がいた。

今なら蛇口をひねれば当たり前のように出てくる水ですが、当時の人々にとって、水が湧き出るということはどれほどありがたいことだったのでしょう。

そんなことを考えながら眺めると、小さな清水にも、この土地で生きてきた人たちの歴史を感じます。

聖人清水の周りを歩くのも楽しい

そして、聖人清水を訪れて印象に残ったのが、その周辺の町並みでした。

「歴史スポットをひとつ見て終わり」ではないんです。

少し歩けば酒屋があり、さらにクラフトビールを造るお店もある。

古い家や路地の残る門前町のなかに、お酒を楽しめる場所が点在しています。

この感じが、なんとも弥彦らしくていい。

弥彦の町を歩いていると、

神社、清水、お酒。

それぞれ別々のもののようでいて、実は「水」というものを通してつながっているようにも感じました。

新潟のお酒が並ぶ「酒屋やよい」

※写真はGoogleMapより

彌彦神社の門前には「酒屋やよい 神社前店」があります。

築約200年の古民家を再生した建物で、店内には新潟の地酒をはじめ、酒粕、果実酒、リキュールなどがずらり。

自社醸造のクラフトビールも扱っています。

「神社へお参りしたから、次はお酒を少し見ていこう」

そんな寄り道ができるのも門前町歩きの楽しさです。

土日祝日には2階のテイスティングルームで日本酒の有料試飲も行われています。

新潟といえば、やっぱり日本酒。

観光地のお土産店というより、**「新潟のお酒を楽しむ場所」**という感じなのがいいところです。

弥彦にはクラフトビールもある

さらに面白いのが、弥彦にはクラフトビールの醸造所まであること。

その名も**「弥彦ブリューイング」**。

弥彦産の米や農産物などを使った、地元ならではのクラフトビールを造っています。

彌彦神社の門前町を歩いて、

親鸞聖人ゆかりの清水を見て、

そのあと地元で造られたクラフトビールを一杯。

そんな町歩きができるんです。

歴史ある神社の門前町というと、和菓子屋さんや昔ながらのお土産物屋さんを想像しますが、弥彦にはクラフトビールという新しい楽しみも加わっています。

古いものを大切にしながら、新しいものもちゃんと生まれている。

この組み合わせが、とても魅力的でした。

写真を撮り忘れましたが、「酒屋やよい」でキンキンに冷えたビールを飲み、冷たい喉越しが熱い夏に一瞬の涼をもたらしてくれました。

「水」がつないでいる弥彦の歴史

聖人清水を見たあとに酒屋やクラフトビールのお店を歩いていると、ふと「水」という共通点が気になりました。

聖人清水には、水不足に苦しんでいた人々のために親鸞聖人が清水を湧かせたという伝説が残っています。

そして弥彦には、酒造りの文化があります。

村内には天保9年(1838年)創業の弥彦酒造もあり、彌彦神社の御神酒を造る唯一の酒蔵。弥彦山からの伏流水を使い、日本酒を醸しています。

※弥彦酒造では現在、酒蔵見学や店頭販売は行っていません。お酒は村内の酒店などで購入できます。

昔の人の暮らしを支えた水。

神様に供えるお酒を造る水。

そして今は、その土地の農産物とともにクラフトビールにも姿を変える水。

そう考えると、聖人清水は単なる小さな史跡ではなく、弥彦という土地と水との関わりを感じる場所のようにも思えてきます。

有名観光地だけではない、弥彦の面白さ

彌彦神社は、それだけを目的に訪れても十分見応えのある神社です。

けれど、せっかく弥彦まで来たなら、神社だけで帰ってしまうのは少しもったいない。

門前町を歩いてみると、

親鸞聖人の伝説が残る小さな清水があり、

昔ながらの町並みがあり、

新潟の日本酒を扱う酒屋があり、

クラフトビールを造る醸造所まであります。

古い歴史と、今の弥彦の暮らしが同じ町の中に自然に混ざっている。

私は、そんな町歩きがとても好きです。

観光名所から観光名所へ移動するだけではなく、少し横道へ入ってみる。

そこで偶然、石碑を見つけたり、小さな史跡を見つけたり、お酒のお店を見つけたりする。

そんな寄り道のほうが、あとになって旅の記憶に残っていたりします。

彌彦神社へ行ったら「聖人清水」まで歩いてみて

聖人清水は、決して派手な場所ではありません。

むしろ「ここ?」と思うくらいひっそりとしています。

でも、その小ささがいい。

800年以上前の親鸞聖人の伝説を感じながら清水を眺め、そのあとは門前町をぶらぶら。

酒屋を覗いたり、クラフトビールを楽しんだり。

彌彦神社参拝とあわせて歩けば、「神社を見る旅」から「弥彦という町を味わう旅」へ、少し旅が広がります。

有名な場所のすぐそばに、まだ知らない物語がある。

そして、その物語の隣では新しい酒も造られている。

そんな新旧が入り混じった弥彦の町歩き。

彌彦神社を訪れたら、ぜひ「聖人清水」にも寄り道してみてください。